pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

分厚い・・・です

 昨日『新九郎、奔る!』を読んでいたら伊勢宗瑞の評伝を読み返してみたくなりまして、明日、本屋に行けたら買おうかなぁ、と。天気が大幅に崩れなければ、行けるんぢゃないかな?なんせ今日は休日かと思えるほどに、暇、のんびりな日でしたから、明日もそうぢゃないかしら、と。不況というのはこんな感じですから。幹線道路も車が少なくてのんびりスムーズだったもんなぁ。

 それはさておき、再読のこれを読み終えました。

 

武田氏滅亡 (角川選書)

武田氏滅亡 (角川選書)

  • 作者:平山 優
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: 単行本
 

  冊子部分の総ページ数は752です。片手でかろうじて支えられるけれども、片手でページを繰る事はなかなかの難易度です。分冊しても一冊あたりP300をこえます。『歴史読本』という雑誌に三十三回連載され、終刊してもなおWEB版で続いたものらしいですから、そりゃあまぁ、ねぇ。

 本来新書にするにあたって、あ、この辺は削ったり省略したりするよな、というような内容まで全て載せているからではないかな、と思います。新書での書き下ろしの場合だと、だいたいこれぐらいの分量ってのがありますからね(だから新書の本の厚さはだいたい同じぐらい)。こちらは『選書』と銘打ってありますが、新書と選書のカテゴリー違いはよく解りません。いつの間にできたのかな?

 長くなっている理由は、通説、定説、俗説に対していちいち論証、検証、反論をもうけているからで、それがあるからアタクシなんかは面白くて仕方ないのですがネ。

 改めて読むと、武田勝頼は生まれながらの武田氏嫡子ではなく、『諏訪勝頼』である事がついて回っているのだな、と。それから、運が悪い。父信玄の成功例にならって政治判断を行っていますが、例えば御舘の乱で上杉景勝景虎の和睦仲裁は父信玄が今川義元北条氏康の和睦仲介をした前例を参考にし、甲相越三国同盟を結成して織田、徳川に相対する態勢を構築したかったのでしょうが、もともと景勝の国衆圧迫から始まった混乱は、反景勝勢力が仲裁役であった景虎を旗頭に押し立ててしまったところから、どちらかが追放、あるいは抹殺されるまで追われないデッドゲームになっていましたから、信玄の時よりも更にハードルの高い仕事になっていましたし、織田との和睦タイミングも長篠合戦後、信長が本願寺、毛利に対して劣勢になっていた時ならば信長にも和睦の利益があったのですけれども、自身が御館の乱後に北条氏との同盟が破綻した後に持ちかけています。信長劣勢の時は一蹴してます。そして自身から持ち出した時には信長方は劣勢から立て直し、本願寺と和睦、畿内でも有利な展開になり、信長から時間稼ぎに和睦交渉を引き延ばされるだけ引き延ばされて、結局孤立した味方の高天神城に対し有効な救援作をとらないまま見殺しにした形になってしまい、配下の国衆からの信用を一気に失ってしまいます。(和睦交渉進行中なので織田、徳川方面に具体的な軍事行動を取れなかった。それを行えば交渉が破綻してしまう事を恐れた。ほんと外交交渉って弱い立場になると、とことん泣きをみるんだなぁ)

  可哀想になってくるのは木曾義昌の裏切りによって織田方の侵攻が始まった、丁度その時。関東に変事がある時に噴火するとされた浅間山が大噴火を起こし、武田氏滅亡の印象を決定づけます。

 あとは坂道を転がるように真っ逆さま・・・

 長篠合戦大敗で先代からの幹部武将の大半を失いながら、勝頼は武田氏を立て直し、最後まで信長は勝頼がどこかで主力を率いて決戦を挑んでくると評価していました。結果は、政略を仕掛けた信長すら驚く、怒濤の勢いでの滅亡。

 人間、一寸先は闇なんだなぁ、とか思いましたよ、はい。