pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

時代劇の定型って

 自分がその作家さんの作品で気に入っているのは、近未来の警察ものとか、現代舞台のアクション冒険ものとかでして、戦国(?)を舞台にした剣豪ものは初めて読んだのですけれども・・・読んでいて違和感バシバシでした。自分が戦国期の研究とか新書とかに慣れ親しんでしまっているからなのか、武士にせよ、農民にせよ、行動様式をある程度理解して(いるつもり)になってしまっているからで、どうも、その方の作品に登場する人々の行動やら思考やらは、江戸中期以降のものではないかなーっと。あと関東の地方大名で謀反がー・・・って言うけれど、それに対する反応って、謀反する側がよっぽど強力な後ろ盾(例えば国持ち大名級)を持つか、周囲の同規模勢力に対してコンセンサスをとるか(無理だと思うけど)しないと、本能寺の変で信長を殺す事に成功したけど、織田家臣の広範な支持を得る事ができず、一戦にして脆くも滅亡した明智光秀になりかねない。こういってはなんですが、主人を殺した家臣って、大義名分的に「殺してOK」って理屈を相手に与えてしまうのですよね。

 後は、この時代なら虐殺よりも奴隷として売るよなーっとか(女よりも男の方が労働力として高値で売れた時代です)、そもそも庶民がやられっぱなしはないよなーっとか、個人技の剣豪って合戦で何処まで役に立つんだ?とか思ったりして、内容にあんまり入り込めませんでしたね。あ、どうも関ヶ原戦の後を想定しているようですが、それなら公儀である豊臣家、もしくはそれを代行する立場としての『天下人』になりつつあった徳川家康に話をつけておかないと、総無事令違反で謀反を起こした側がお取りつぶしですけどね。

 ま、ファンタジーなんだから、いいんだけど。

 それはさておき見たもの、読んだもの。

 

  見ててもしばらく話の内容が思い出せなくて(そして睡魔に負けそうになって)、オチになってようやく「ああ、そういう話があった!!」と思い出す始末。あかんなぁ。

 なんかバラバラな一族(なんだろうか?)に見えて、妙に結束してしまい、話をややこしくしてまうというストーリーでしたね。『洋館もの』でした。孤立していないけどネ。

 

天皇家と源氏: 臣籍降下の皇族たち (読みなおす日本史)
 

  著者の方は昔の方だよねー、でも発行されたのは今年?と思っていたら、復刊本でした。そっかー。なので内容的に目新しいものはないかと思いましたが、そうでもなかった。

 臣籍降下させられる皇族は、言ってしまえば口減らしですね。皇室の収入が確保できず、いつもでも皇族として養っていけないから、人臣として、つまり「働け」と言われるという事で、当然、天皇から等親が近いほど出世に有利になります。天皇の息子世代なら大臣にまで出世する人は少なくない。しかし完全身内有利の平安時代ですから、摂関時代全盛ならば、天皇の親族になる事は難しく、清和源氏桓武平氏のように地方長官になって税収を猫ばばして財を貯めて、摂関家、あるいは院に奉仕するか、もしくは学問や儀礼を記録し、憶え、その職能で生きていく貴族となるか、ぐらいしか生き残る道はありません。何十も臣籍降下した人々はいましたが、後世まで生き残れたのは、ほんの僅かです。

 しかし自分が注目したのはそれではなく、醍醐天皇の時代を論じているところで、自分は宇多法皇菅原道真VS醍醐天皇=藤原家の対立だと思っていたのですが、この本だと宇多法皇菅原道真藤原忠平VS醍醐天皇藤原時平、源光、という構図だったというのです。んで醍醐天皇藤原時平のクーデターで菅原道真は失脚。パワーバランスは天皇に大きく傾くのですが、藤原時平の若死に(三十代で死亡)と源光の不可解な事故死によって宇多法皇藤原忠平に大きく傾き、醍醐天皇が失意のうちにこちらも四十代で亡くなって、醍醐天皇の父親である宇多法皇も亡くなり、結果として藤原時平弟にしてライバルだった忠平の一人勝ちになった、というのです。

 そのあたりの詳しいこと、例えば宇多天皇醍醐天皇の評伝とかがあると、嬉しいのですけれどもねー。出てくるのかな?