その前に、昨日の長曾我部元親・盛親父子の評伝の感想に加えるつまりだったのが忘れてしまったので書き足し。
『麒麟がくる』で信長が魔王化してきたなぁ、と。あと長女がしれっと荒木家に嫁いでいた。何の説明もなく。なんかね、脚本家の意図が自分の期待から乖離を開始したのではないかなぁ、と。細川藤孝との関係も不満です。もっとも親しい間柄である筈なのに、そして光秀以上の、隠れもなき教養人である細川藤孝の扱いが、微妙な脳筋になっているし、どちらかというと黒向きになってきているし(二人の別離が葛藤ドラマになるように仕向けて欲しいのだけど、なんか微妙になりそう)。
あとね、自分が好きではない群衆演出(棒立ちというか、書割のようにMOBを扱っているように見える演出)が目立つし、あー・・・まぁいいか。録画しておいた奴を早送りで見ればいいんだから。まぁいいか。
はい。気を取り直して読み終わったもの。
物語の流れとしては蛇足感があります。独立した物語としてみれば、退潮著しいヴェネツィアの行方を、指導者階層の一人の視線から描きたかったのだな、と理解できます。ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマの三都物語として描かれた以前の構想では、主人公とその愛人の愛情物語と歴史物語が絡み合っていたのですが、この本における主人公は恋愛に対する熱情は既になく、というか熱情を向けるべき相手を失ってしまい、彼女に対する想い以上に他の女性を愛せない状況なので、愛情物語にはならない。
となるとヴェネツィアと地中海が世界の中心を担っていた最後の光芒とも言える「レヴァントの海戦」にまつわる顛末を、当時ヴェネツィアを中心に活躍した芸術家、文筆家、医者などの人々の姿を描き出す事が、この物語の焦点であり、主人公の行く末を描くことが、この物語の目的だと思えます。
一つの歴史が終わっていく哀愁を感じる物語でした。
そんなに影響力があるかな、ド・ルーゴくんは。というのが率直な感想です。どっちかというとチャーチル枠を連合王国に登場させた方が・・・とは思うけれども、将校といえど一介の軍人。戦場でどうにかして未来を変える可能性は、こっちしかないか。エピソード的に。
とはいえ、ここから帝国の凋落が徐々に、徐々に始まります。崩壊の始まりです。つまり、幼女戦記がお気に入りな理由です。はぁ。チート主人公の破滅物語ってよくね?(曲がってる