だいたい自分の読書は、狭間時間の活用とか、ブラウザゲーのながらのお供とかで進めまして、割に中断しつつニ、三日かけて読むなんて事もざらなのですが、この本は待っていた事もあり、展開や謎解きが気になった事もあり、一気に読み切ってしまいました。
人造人間、吸血鬼、鬼、とかが存在している架空の十九世紀。しかしそれらは産業革命以来、人の勢力に追い詰められていく傾向にありました。そんななか、彼らを捕獲して研究している存在が・・・題名にある「アンデットガール」はゾンビとか吸血鬼とかそういう動き出した死体ではなく、不老不死で首だけの存在になっても生きているというふざけた存在です。彼女は千年近く生きてきましたが、その不老不死の仕組みを探ろうとする存在に首から下の体を奪われ、平たく言えば、彼女の体を取り戻すというのが物語の目的。
旅のお供が彼女を「師匠」と呼び、幇間(たいこもち)風の言動と、人間離れした、というか実験の結果半人半鬼の存在になった男と、長年「師匠」を守ってきた一族で、彼女の体が奪われる際に全滅してしまった生き残りの、無表情な若い女性で、主に「師匠」が人外専門の探偵としてヨーロッパ各地で謎解きしながら組織を追う、というもの。
この「師匠」と幇間みたいな男のすっとぼけた、ちっとも前に進まない会話のやりとりが大好きでしてねぇ。他にも人外が出てくるからには活劇、乱闘も多く登場していましてね。んでもって十九世紀ヨーロッパですから有名どころの怪奇小説に出てくる連中は、ひょいひょい出てきます。前巻はシャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパンとうアレな状況に、敵のボスがホームズと同じように滝から生還したモリアーティ教授と判明して、彼が「切り裂きジャック」に協力して彼を(いまのところ彼とあたしゃ認識していますが)スーパー人外にするという目的で暗躍している事が判明。
今回は彼らが次に狙うのが人狼であると解り、そこへ向かうというもので、物語の筋としては、ええっと血統配合で「最強人狼」を作り出そうとする意志への反逆・・・みたいな?これ読んでいて、血統崇拝者へのしっぺ返しみたいだよなぁ、とか思いましたねぇ。血統で「最強人狼」こさえるって人の体で配合実験って事ですよね・・・人ぢゃないけど。当事者としてはふざけんな!!だよなぁ、と。なんかね、血縁に拘る方々に対するアンチみたいな感じがして、自分としては楽しかったのですよねー。
ひそかにこの作品、なんらかの映像化しないかなーっとは思っています。たぶんアニメ化が一番妥当でしょうね。舞台がヨーロッパで、登場人物の大半はヨーロッパ系とか、今回アフリカ系や中国系も登場しましたが、日本人みたいなのは「師匠」「幇間」「メイド」の三人だけですけれども、物語の肝はうけない落語というか小噺みたいな「師匠」と「幇間」のやりとりだと自分は思っているし、この間合いは日本語ぢゃないと興ざめだし、米語や中国語でやられてもアレだよなぁ、と思うので。
三巻が出たばっかでアレですが、早く続きが読みたいですヨ。