pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

忘れるといけないので

 とりあえず金土の晩に見た映像の事から。

 金曜日は庵野秀明さんを取材したNHKの番組。再編集して以前放送したものとは別構成、映像を追加したものがGW中に放映されたのですが、今頃それを見ました。

 改めて、創作って命(体力とかではなくて精神的なものも含めて)削らないと、『人様に受け入れられる攻めた作品』ってのはできないんだなぁ、と。ルーチン作業で作品をつくる事はできる。慣れてしまえば。でもそれでは詰まらないし、しかし理解できるように作らなければお客さんに申し訳がない。

 確かに旧作のエヴァ劇場版は「言いたい事はなんとなくわかるけど、攻めすぎて解りづらい」「アングラ的だなぁ」「あのオチ解るけど、痛々しいなぁ」というのが感想で、円盤は購入しませんでした(驚くべきことに、あの当時は劇場で見てた。まぁ映画館でバイトしていた当時のコネがあったから、ってのもあるのですが)

 シン・エヴァは円盤で購入して見るつもりなのでなんとも言えないけれども、庵野さんって、やっぱり痛々しさを感じるというか、おそらく自分の過去にも少しばかり重ねているところがあるかも知れない。単なる自意識過剰ですけど。

 

  リュック・ベッソン監督作品です。でも十数年見なかった作品です。なんかね。どうもね。当時は確か本願寺大谷派の僧侶でもある方のジャンヌに関する研究というか著作を読んだ前後で、そのイメージがあったので。と今それを思い出したけど、その方の著作内容は忘れています。スミマセン。

 今回見ようと思ったのは、なんとなーくでしたが、見終わって、あ、佐藤賢一さんの『英仏百年戦争』を読んだ後で良かった、とか思いました。ジャンヌが『聖女』ではなくフランス・ナショナリズムに無意識で突き動かされた存在というのが映画でも表現されていて(考えてみればキリスト教の神は普遍的な存在であり、キリスト教徒のフランス人を助ける為に、キリスト教徒のイングランド人を殺す事を是認するって、それは背理だよな、と)、印象的なのがオルレアン救出の立役者である彼女を抹殺しようと画策するイングランド側と、なんとか彼女を救おうとする宗教裁判の聖職者たちの努力。使用済みとばかり彼女を簡単に見捨てるシャルル七世の宮廷。

 あかん。あの面々の中で一番共感できるのが、シャルル七世の義母でシャルルの事実上の後見役ヨランダ・ダラゴンなんだよねー。使えるものは何でも使え。使い終わったら『神の御使い』を名乗る扱いに困る少女なんて、見捨ててまえ、って、その酷薄な政治的判断に痺れている自分がいる・・・もちろんジャンヌにも同情するけれども、その一途さの裏返しにある愚かさを見ると「あ、ああ、仕方ないよね。踏みとどまるべきところを突っ走ってしまったのだし、ダスティ・ホフマンにも言われたぢゃない。『見たいものしか見ていない』って」とか思うのですよ。

 一応最後に19世紀に聖女に列せられたってテロップが流れるけれども、何というか、英語セリフの映画なんですが、これ、フランス語でやってもらった方が、もっと重くのしかかってくるかなぁ・・・あ、出ている俳優さんは主演のミラ・ジョヴォヴィッチとダスティ・ホフマンと、シャルル七世を演じたジョン・マルコヴィッチ、あと名前は解らないのですが『ブラックスワン』で女たらしとか言われながらもバレー演出に関しては厳しい演出家で出演していた方がジル・ド・レーを演じてみえました。それぐらいかな、解ったのは。俄かだからそれ以上はわかんね・・・