pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

緩衝地帯の悲哀

 これ読むとね、日本は比較的上手くやっている方だと思うのですよ。

 

  今回は貨幣制度のお話がメインですね。敵味方の相互不理解が原因で、泥沼化してしまった先の戦争(大国の『安心』という都合の為に、国境は侵されるわ、政治の都合で前線は理不尽な犠牲を強いられるわ、国土は荒廃するし、守るべき国民を見捨てる形で撤退命令を実行しなければならないし、で、共和国の軍人がやさぐれてしまうのは当たり前である)の為に金本位制度から逸脱してしまった共和国(戦費調達の為に準備黄金以上の貨幣発行を余儀なくされて、通貨信用はガタ落ち。自国を荒廃させた直接原因である敵国の王国通貨や『味方』の連邦通貨でなければ売買できないという悲哀)。

 そこへ『味方』の連邦から金本位制度への復帰を好条件で支援するという事務レベルの打診が。話が旨すぎるが、紙切れ同然の価値しかない自国通貨で給与をもらっている志願制軍人たちは、金本位制に復帰できれば自国通貨の信用が戻る、そうなれば自分たちの生活も楽になる!!と思うのですが・・・まぁね、連邦から支援を受けるという事は、経済的に連邦の支配下に入ってしまうという事であり、自分のポンチ頭では理屈が納得できなかったのですが言いたい事は解る。共和国は連邦の経済的植民地になってしまいます。

 んでね、ここで連邦側の武官が動いたりするのがねぇ。「安定した植民地などありえない」という的を得た発言をしております。「私企業が楽して儲ける為に部下を危険にさらせるか」というのが本音。んで本国の経済学者に共和国側に内々に提示させたのが、金の代わりに地代を担保にした貨幣制度を提示して、金本位制度への復帰を可能な限り遅らせろ、というもの。

 これって、現実世界では大戦後の話だよね、貨幣価値が国家の信用によって保証されるという奴。この辺の匙加減は未だに未確立臭いよね。どこまで通貨も発行すればインフレにならないのか?という法則みたいなものを各国は見出していない感じ。現在新型コロナ対策で各国は非常事態という事で、財政規模からすると過大な財政出動をさせているけれども、日本の場合、今のところインフレが起こっている気配はないです。医療関係に出動した通貨が他の市場に流れ出せば、インフレ傾向になるのでしょうか?

 ともかく、作中でも「これは実験。結末はどうなるか知らんよ?」と言われても、連邦の『家畜』になる未来確定の安易な金本位制度よりもマシ、という事で、地代で価値を担保した新通貨発行、金本位制度はゆくゆく復帰、という方法論で、通貨価値を安定化させる事に成功したようです。

 次はどんな事になるのでせう。こういうね、敵味方が単純化されていない腹の探り合いしている話が好きなんですよ。ああ、汚れちまっていてさーせん。

 ではこんなのも。

 

  ひたすら飼い猫と戯れまくるだけ、の漫画です。しかも、ふきだしはもちろん、奥付まで全て著者の手書き。発表がweb版だからなのか、著者の肉筆へのこだわりが見えます。つまり、ほっこりする話です。自分的には箸休めにいいです(オイ