pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

7/2に届いた~

 密林に注文していたものが全て届きました。昨日の日記で蔭口を叩いたからでしょうか?やはり「呼ぶより謗れ」は正しいのか?(偶然だ

 読みたいものが山のように届きましたが、即座に読める訳でもなく(それはそれで呪いのような能力だよナ)、丁度読み終えた本がありますので、それについて書こうかと。

 

  巻裏著者プロフィールに、東洋史学専攻と記載されたので、つまりこの『ミカイールの階梯』はある意味、著者の専門分野の集大成、みたいな?

 相変わらず人の美醜が臆面もなく表現されていて、あたしゃ好きです。一人の登場人物の賢明な面、純粋な面、人として共感できる面が見えたかと思うと、愚かしく邪悪で「〇ぬばいいのに」とさえ思えるような醜い行為が現れます。十代の少女たちにすら容赦はなく、思いやる心の裏側には自己陶酔があるとか、全てに関して表と裏があると暴き立て、それでもなお前向きに進んでいく結末が好きですね。

 特に『同胞殺し』の汚名を数十年前にもらい、中央から左遷された、食えない老将官が好きですね。贖う事のできない罪を犯したという自覚。改心。その為に自分がいかに生きるのか。物語では語られていませんが、いずれ起こるだろう軋轢を解決する為に自らの死を利用する事すら想定に入れています。自分の人生を、自らが擁立した『英雄』を彩る為だけにマネジメントしていく・・・二十代の時に堺屋太一さんの小説『豊臣秀長』を読んで以来、そういう裏方で汗をかく人、仕事、というものに惹かれている自分がいるのですよねー。表舞台で注目を浴びる緊張感に長く耐えられそうもないので、裏で段取りや調整をする仕事にやりがいを感じてしまうという。

 物語の最後がそういう裏方になるだろう将校の、ちょっとした幸せ(いや人生における最大の幸せかも)で終わっているというのも、救いなのかな。この将校もなかなか酷い人生だし、無自覚で呆れられているけれども。

 しっかし、そうか。『ラ・イストリア』だけ未読だったのかー。そして絶版・・・うーむ、ザンネン。文庫版が出そろってから購入するとか悠長な事を言っているとこうなるのね。皆様も、気になった出版物、音楽、映像は、躊躇せずに入手する事をお勧めします。入手できないって後悔するより、作品のデキで後悔する方がマシだと思うのですよね。そういう事を書いて千文字稼ぎました。