隣のGSも静かです。会社の業務車両が利用する事が多いGSなので、つまり、皆控えているという事です。OPEC会議では増産しないという事になりましたし、石油製品の価格は高止まりですね。コロナ禍がひと段落して経済が再始動している、と言うのは消費者側の理屈で、産油国としては増産して価格が下がって、またコロナ禍が再発して消費量が減ったら想定以上の石油価格下落が起こり損する訳ですから、下げたくないというのも本音。
こういう石油消費を抑制する動きが続くと、それに頼らない技術が求められるから、CO2排出量を減らす技術開発が進むのではないかと期待したりしておりますが、それはまた長いスパンの話です。
でも読んだ本は、それとは関係ないのです。
これを読んだので、『鎌倉御家人のアイドル』とかって表題をつけるつもりでいたのですが、それもあざといかなーっというか、書き始めで一番に思いついたのが「平日とは思えん静けさだナ」だったので。はい。
源頼朝から始まる鎌倉幕府の源氏将軍の中で、三代目の源実朝に焦点を合わせた内容です。吾妻鏡の著述操作によって「文弱」「退廃」イメージが強い実朝ですが、北条家称揚という吾妻鏡の目的を弁えてそれっぽい内容を外したり、「玉葉」とか「愚管抄」とか貴族、僧侶の日記類も合わせて読むと、武芸では兄頼家に見劣りするものの(頼家は弓の達人クラスだったらしい)貴種としての素養に恵まれ、また幕府のシステムを北条義時はじめとする宿老たちと構築。当時の幕府に求められた権威を担う「高貴な存在」として自分の在り方を規定し、また後鳥羽上皇の朝廷と幕府を調停する立場として存在感を示していました。同時代人の回顧だと実朝時代(十数年)は穏やかな時代と称されたそうです・・・和田合戦は?(あ
後継者に恵まれなかったにも関わらず妾を得なかった理由は、妻が後鳥羽上皇の従妹に当たる貴種であり、それを憚ったこと。また貴種である自分の後継者は貴種でなければならず、地下はもちろん侍階級、良くて大夫階級しかいない御家人の子女を母とするには幕府の機構が許さないこと。もちろん妻との仲も大変よろしかったようですし・・・リア充(あ
いやね、日没と同時に庶民は寝てしまうような時代に、夕方から夫婦そろってお寺にお花見に出かけて、日が暮れたらお寺の人たちも一緒に夫婦で和歌を詠み合い、帰りも一緒の車に載ってイチャコラしながら帰ったってエピソードがあるようですから、まぁ、爆ぜろとつぶやくぐらい許してほしい。いや、もう爆ぜているけど。
実朝没後、奥方は京に戻り再婚せずに出家。八十代で亡くなるまで実朝の菩提を弔った、というから半世紀そういう事をするぐらい愛していたという・・・やっぱり爆ぜろ。
そんな事で自分の後継者として望みうるのは後鳥羽上皇の皇子ぐらいで、その話し合いも決着し、皇子後見役として人臣を極めた存在に実朝を仕立て上げる為に急激な昇進を遂げますが、その御礼に鶴岡八幡宮に参拝するところを甥で八幡宮別当の公暁(こうぎょう、と読むのが正しいのでは、と著者は述べておられます)に討たれます。
公暁自身、頼家の正妻の子として生まれ、比企氏と北条氏の争いの中で父親を失った彼としては、鎌倉仏門最高の地位を用意されていても「本来ならオレが将軍になってもおかしくない」と思い、「親の敵討ちなら現任将軍を討つことは正当化される!!」と思い込み犯行に及んだという本の説は、納得できます。黒幕がいる割にはその後の政局の動きは妙だな、と思っていましたし(北条義時黒幕説は、実朝と一緒に幕府体制を構築していた義時には殺す必要がないし、また朝廷との交渉は『承久の乱』以前の幕府では実朝以外に主導権を握れる人間はいない。三浦義村にしても北条義時打倒なら和田合戦で伯父義盛を裏切る必要はなく、それこそ一緒に乱を起こした方が成算が高かった。和田合戦は実朝という玉を確保した方が勝ったという、かなりギリギリの合戦だったので。両説は成り立たないだろう、と)
実朝を殺された事で後鳥羽上皇は幕府に不信感を抱き、皇子将軍を拒否された幕府は大慌てで次善策を講じなければならず、その結果、承久の乱を起こったというのは、なんともかんとも。
あ、「御家人のアイドル」というのはですね、源頼朝が亡くなった時、出家した御家人は数人だったのに、実朝が亡くなった時には百人近い御家人が出家したという。この場合の出家は殉死に近いです。それだけ実朝が御家人に慕われていた。アイドル的存在だった、というアタクシの感想ですネ。