pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

久しぶりの雨

 なので時間を見て本屋に自転車を走らせる案はないです。1/8発売の売野機子さん作『君に会いたい』という漫画を買い損ねているので、できれば行きたかった。マイナーな作家さんの本は入荷しても少数なので、連休中に出てしまっている可能性を否定できない・・・なかったら通販だよなー・・・

 まぁ綾辻行人さんの『館』シリーズが気に入ったので刊行順に読もうと思ったら、やっぱり通販になるんだけど(本屋の棚には著名なシリーズ一作目しかなかった)

 という訳で三連休は飲みに行ったり、読書したり、録画映画見たりといつも通りです。読み終わったものから行きましょうか。

 

 外交は難しいよなぁ、という事です。日本でいうところの中国ポジである王国が、国内の自国シンパを増やしつつ、国境から浸透し自国民系住人を煽る事を目立たずやろうとしていたら、そう企図する在共和国大使と思惑とは裏腹に、この物語でほぼ潜伏しながら、ほぼ全てを俯瞰している王国女性工作員が、趣味ぢゃないからって在共和国大使の企図をひっかき回しています。おかげで王国側は外交的に失点を被る軍事衝突が起こしてしまいました。

 ややこしいけど、この後どうなるんでしょうね。にひひひ・・・

 

 これは借りた本です。どうして渡邉さんの著作を忌避していたのか、よく判らない。以前読んだ本で、はなはだ信憑性が乏しい『後漢書』に依拠した話をしていたからかなぁ。

 しかしこの本を読むと、三国時代の流れを喝破している感じです。曹操が何故『奸雄』とされ憎まれるのか。それまでの漢王朝が支配の根幹に据えていた儒教が人々(特に庶民の)信頼を失い、それに代わるものとして文学と猛政(法の適用を厳しくする支配)を用意し、その後の中国諸王朝の支配規範に著しい影響を与えた存在なのですが、しかし彼の王朝が永続する事無く滅び、その後継王朝も短時日で滅亡。中国が分裂期に入ってしまい、その分裂期の人々がよりどころにするのが統一王朝の漢であり、その復興を最後までもくろんだ蜀漢こそが『正統王朝』と主張すると、蜀漢を圧倒した曹操曹魏は完全に敵役にならざるを得ません。つまり必然的に憎まれ役に。

 関羽が『神』にまでなったのは後の軍事的に比較的弱体で外敵に悩まされた王朝が、彼を軍神として祭り上げたのが最初で、その軍事物資調達を請け負った山西商人の根拠地は関羽の出身地で、そもそも関羽自身も当地の特産物である塩の交易にかかわったと思われると。なので山西商人が関羽を財神と崇め、それが広がっていたという。

 諸葛亮が慕われるのは智謀というよりも蜀に経済的繁栄をもたらした後に、経済負担にならない程度で北伐を遂行した為で、それを考慮しなかった後継者姜維は劣勢になると簡単に切り捨てられたとか。あと諸葛亮を含む儒学の一派荊学は神秘的な方向に寄っていた後漢時代の儒学を(こじつけみたいな予言書が流行していた)、実践的なものに改め、その後の儒学発展の方向性を決定したとのこと。

 三国を統一した司馬氏の天下が長く続かなかった理由は、政権を担う名士を貴族化(曲がりなりにも個人資質の評価が名士となる基準であったのを、家柄、出自で保証するようになった)して皇帝への従属度を増し、それなら中央集権が進むのですが、司馬炎曹魏へのアンチテーゼで厚い服喪をしたら何年も女性と接する事ができず、自分の後継者が皇帝不適格者の長男以外おらず、それを取り戻すように子供を乱造して藩屏として王にした結果、軍事権を握った諸王が権力争いを初めて弱体化したという・・・

 改めて読むと司馬氏の天下取りは悪辣で機会主義で、理念的なスローガンもなく、ああ、天下とっちゃいかん人々が、とっちまったらこーなるのねー、という話に。

 あ、長くなってしまった。今日はここまでにしておきます。