pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

ほんとに知れば知れるほど・・・

 旧日本軍の組織的にダメなところが目に付くというか何というか、そういう組織だから日本滅亡とも言える状態になってしまったのですけれども。

 

 散々な評価のインパール作戦については補給の面から検証されたものを読んだ事があるのですけれども、これは主に作戦を立案、実施した責任者であり『愚将』のレッテルを離れている牟田口廉也という人の評伝と作戦が提起され実施、敗北を受けての中止に至るまでを追った本です。

 著者が牟田口という人物の評価に義憤を持って書いているのは一目瞭然なのですが、確かに牟田口廉也という人物を『愚か』と評価するのは安易と思えます。それを言うなら旧日本軍の意思決定に関わった人間は全て愚かと言えます。まぁ愚かなんだけど。

 インパール作戦は、中国の重慶政府への補給路遮断と英領インドを攻撃独立させ、イギリスから継戦能力を奪い、戦線から脱落させる事を目的として計画されました。ただ計画された当初から兵力、装備、補給、制空、全ての面で劣勢であり、牟田口本人もムリと判断。しかしこの作戦が大本営に意向であると認識すると、「上層部の意志を実行するのが実働部隊の義務」と判断、一度不同意を示しただけに一層作戦実行に意欲を見せます。

 この判断は牟田口の個性というよりも日本軍が各実戦部隊に求めていた姿勢で、つまり、大体の方針を中央が決め、前線部隊がその目標達成に努力するという、大日本帝国憲法が作られた当時の思想に基づいています。現地ほど情報に明るくない後方はアレコレ口を出さず戦略目標を設定し、前線部隊が自軍の実力の範囲でその目標に達するという奴。統帥権の独立ってのも、もともとはこの意味だったらしい。

 んが、上からの命令が決定されたからには遮二無二それを達成する努力を無制限に求められると考えたのは牟田口はじめ当時の日本軍の、なんかダメな方向に発揮されちゃった努力と見えます。現場は劣勢である事が解っているのに、それを実現する為にやるって・・・たぶん戦記物とかで劣勢を覆して勝利を得るって事を『英雄的』行動って賞賛していたからかも知れない。だがあれは不正規な戦果であって、幸運によっぽど恵まれないと失敗のリスクが高い山師的な行動でもある訳で、解っているのにやらざる得なくなる事に自分から入り込んでいく。

 それでも少しでも状況を改善する事はできた筈なのに、「軍人ならば」「日本人ならば」「同期ならば」「あいつならば」解ってくれるっていう思い込みで『報連相』が滞り、他にも現地の事を知っている参謀が人事異動でいなくなっているとか、人間関係がアカン連中がいるとか、戦時でありながら平時の人事、政争の結果の、適材適所でない人事とかもあり、悲惨な結果はもっとも現場の、一番下っ端の一般兵が押し付けられるという・・・現代日本ブラック企業と同じ構造ですね。日本人って変わっていませんね。

 牟田口自身は前線最高指揮官である自らの責任であると背負い込み、それ以外にも責めを負うべき連中が口を閉ざし、牟田口を非難したりしている事に著者は憤りを感じています。

 自分には大日本帝国憲法が、政治はともかく、軍事に関しては責任を問えない人に最高責任を預けてしまったが為に、無責任体質の軍隊になってしまったの宿痾が凝縮されているようにしか思えない作戦でした。

 ほんと、こういうやらかしをした人間を祀っている〇国神社を参拝にする気になれないのは、こういうとこなんだよな・・・護国神社も行った事ないけど(あ