pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

お、そういう展開ですか。

 『ヴラド・ドラクラ』の治世って合計しても数年で、その倍する期間、幽閉されていたので、縦横無尽に活動した最初の治世が終わったら、そのまま終了・・・って思っていました!!

 

 何気ない夫婦の交流にも伏線が張られているとは・・・やるなぁ。まぁ奥方はグッバイなんですが。この辺のいきさつは過去の『ドラキュラ』作品に何度も取り上げられていて、解っていたけど、惜しい・・・惜しいなぁ。この漫画って、ヴラド側の人間たちが、ほんとに惜しい形でグッバイしていくのでツライ。まぁそれがいいのですが(M?

 次の巻は獄中から伸びる『ヴラドの長い手』って事になりそうですね。この先のワラキアはラドゥ三世とモルダヴィアが推す対抗馬との戦乱の十年になっちまう訳ですし(wiki情報

 まだまだ楽しめそうです。

 そんなヴラドの運命を翻弄してきた一方のオスマン。その後継国家の話。

 

 五年前の出版なのですが、オスマン崩壊から東西冷戦、湾岸戦争イラク戦争、そしてシリア内戦までの時代を描いています。イスラム国家としては最初に西洋的民主主義国家として軌道に乗った例ですし、2000年代以降、文民統制が働き始めて、所謂『民主主義陣営』国家になっている国です。それも建国当初は政教分離が行き過ぎてイスラムを完全に関わらせないようにしていましたが(民法的な側面を持つイスラム法を否定すると、そうならざるをえないのか)、国民の九割がイスラム教徒の国で非現実だったと理解するのが今までだったという感じ。

 あと現在の政権与党『公正発展党』までの政党は理念がどーのこーのというよりも党首となった政治家の個性で成り立っていたような印象で、つまり求心核が少数だった為に、その人物が失脚、亡くなってしまったら勢力が縮小、解散していく感じ。この二十年近く、日本の自民党のように多数派政権与党になった『公正発展党』は複数の有能な政治家が有機的に協力して国家運営している印象です。

 もしかしたら民主主義のモデルというのは二大政党制か、一極優位か、という形に落ち着くと安定するのかも。複数政党制が行き過ぎると政局が安定せず、国が発展しないもんね。

 あとクルド人問題はやはり未解決ですわな。解決なんて分離独立するか、同化してしまうか、どっちかしか選択肢がないので、どちらも飲み下すには苦い案ですわ・・・

 トルコが今次戦争でウクライナ寄りの立場なのも良く解る本でした。