pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

道長尽くし

 『ど家』は録画してありますが、昨夜は、艦これのイベントE6を三番目のボスまで倒していたので見ていません。最悪水曜日に父親が飲みに行っている時に見ればいいや、と思っているので感想はそれまでお預け。替わりと言ってはなんですが来年の大河ドラマの準主役である藤原道長の本を昨日に続けて感想書きます。

 

 昨日は親族も含めての道長周辺の女性たちに関する本でしたが、今回はご本人そのものです。ネタはご本人の日記と側近でもあった藤原行成の日記、そして当時のご意見番というか儀式の事には誰よりも詳しい藤原実資の日記となっております。

 道長という人は、本来ならば政権担当者になれる立場ではなかったのですが、父親が晩年に外祖父摂政となり、その政権を引き継いだ兄たちが短期間に相次いで亡くなり、ライバルとなった甥が若くして内大臣になってしまったから傲慢な正確になってしまったので貴族層の、そして何より当時の一条天皇の母后である道長姉、甥の伊周からすれば叔母である詮子が伊周を危うく感じたので(そして道長と仲が良かったので)彼に『内覧』という天皇に奏上される文章を先に確認できる役職を与える事になりました。

 一条天皇としては母親のいう事きいて道長を政権首座に付けましたが、最愛の后である定子の兄伊周の事も重視していて、道長は当時病弱であり兄二人が相次いで亡くなったのだから道長政権も短命になる可能性はゼロではありませんでした。ま、伊周君はトラブルメーカーだったので花山法皇の従者と諍いを起こして失脚してしまうですがね。

 道長が他の摂関たちと異なるのは、内覧のまま右大臣、あるいは左大臣として閣議みたいな場での主導権を握り続けたこと。関白になると天皇の諮問者という立場になり、政府決定、人事を直接左右する事はできない、という点で脆弱なんですよね(って思った)。天皇の親族であること、長らく政界にいた権威。それだけが関白の存在感という感じで、最終決定を行う天皇に奏上される前の文章を閲覧できるし意見もできるけれども、間接的な影響力ですよね。その点、道長は自身の孫が天皇になるまで関白ならず政権主催者として人事を、人事権を左右し続けた。これが権力の源泉ですよね。

 摂政は幼少の天皇の代行ですから、そら人事権握り続けますわ。後世への影響となると、それ以前ならば出家したら俗世からの引退を意味し、政治権力なんてそんなに持たないものでしたが、道長は長期政権であったこと、娘が天皇母であること、政権主催者が息子である事、という条件が重なって出家しようがなんだろうが最高権力者としてふるまえたという。これが前例になって引退しようが出家しようが、後継者がその権威を後ろ盾として欲すれば権力を握り続けるという状況が、この後も現れる事になります(院政とかね。大御所とかね)

 あとね、一条天皇の後をついで三年余りで眼病がもとで退位せざる得なくなった三条天皇って人、可哀そうかなぁとも思っていたのですが、空気読めない人で貴族層からは「え、なんでそんなことすんの?」みたいな行為、政策が多かったようです。特に最愛の妻とはいえ政治的後見人が亡くなるか弱小の女性を皇后にするという行為は、総スカンをくらったようです。最高権力者の道長の娘が入内しているなら猶更混乱、争いの元になりますしね。

 あとは、『小舅』実資が実は道長を高く評価していたこと。側近行成は意外に文句を日記に書きつけていたりしていたこと。そんなところも面白かったですね。

 来年の大河ドラマも少し期待したり(あれ、今年は?