pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

薬屋なんだ

 数か月前、喫茶店のカウンターでちょろりと見知らぬ人と話す機会がありまして、その方が最近読んで面白かったというのが、この本の漫画版でした。

 

 最初は教えていただいた漫画版を読むか、と思ったのですが、このタイトル、二人の作家さんが別の出版社からそれぞれ漫画版を出したおいでで、どっちがどうなのかさっぱり判らなかったし、教えて下さって方も覚えていなかったので、原作小説の方が冊数的にも圧縮できるし、そちらを読むか、と決めてから数か月経過しました。その前に読むと決めた『修道女フィデルマ』のシリーズが思った以上の分量、読む速度が上がらなかったので。

 んで一応全部大人買いしてやろうか。ライトノベルレーベルだったらそんなに分厚くない筈・・・と本屋さんで現物を見たら、なんぢゃこのボリュームは?と感じたので五巻まで購入しました。

 世界観は唐代の中国っぽいけど風俗とか、設定はそれにとどまらない色々なものがぶっこまれている感じ。後宮に薬師として入っている少女が探偵として事件を解決する話・・・と思っていました。微妙に異なる。まずもって最初は人さらいにさらわれて後宮の下働きに売り飛ばされているし、薬師の知識はあるけれど薬師として雇われていない。日常的な、しかし帝の寵を競う后たちにとっては行く末どころか命に係わる事件を、知る人ぞ知るみたいな形で解いていく(解決はしない

 まぁ後宮内の管理者が混乱を求めていないし、穏便な形でトラブルを解決したいという人物なので。それが自分には少女漫画的要素に見えましたね。美女と見まごう美男子の若き宦官。実際の運営ではありえませんね。後宮を管理する立場なんて帝の信頼厚い老練な宦官と言うのが理想形。管理者の立場なんて付け届けや賄賂いただき放題な立場だから、激しい競争やら陰謀やらの末に勝ち取られるものと想像できるけれども、どうもこの人物、薬で勃起機能を低下させたり、年齢を偽ったりと色々と裏があるようです。四巻途中までしか読んでいないのでまだ判りません。んでこの人物が、薬関係には好奇心旺盛だけど美形とか色恋とかにはまったく見向きしない主人公に、ちょいちょいちょっかいかけたり、その知識とか洞察とか推理力を利用したり、主人公の立場を思いやったり面倒をみたりと、つまり青春のあまじょっぱい関係な訳でして(管理者側も認めないでしょう。あくまで端から見た関係性)、つまりそういう後ひく謎解きとか、明かされていない設定の多さとか、恋愛ぢゃないけど恋愛めいた関係性とか、後宮の艶っぽくも凄惨な后、女官たちの争いとか、そういったものが人気の秘密なのかなぁ、と思いました。

 既刊は十三巻まであるらしいので、先はまだまだ長い。楽しみです。