昨日書けなかったものから。
ようやくダンジョンから脱出できましたね。二週間滞在していたらしいですよ、彼ら。だからなのか、こういう描写は初めて見たな。年頃の青少年が異性にまったく接する事無く、サバイバルを生き抜いて、その果てにドレスアップした年頃の女性に会うと、どういう症状になるかっていう・・・そうか、そうだな。そうなるな!!
ダンジョンものというか冒険者ものって、だいたいパーティに一人や二人女性が入っているものが多いから気づかないけれども、異性断ちした青少年がどういう症状になるのかは、想像すればそうなる訳で。いや盲点だったなぁ。
建国神話の暗部が暴露されたアルトリア王国。さて次巻以降どうなるんでしょうかね。半年後、楽しみです。
はい、次。
読んでいる最中に、この二冊はセットで書いた方がいいかなぁ、と思って。
『大奥』という女の園、オスマンのハレム同様、完成された後宮って感じなんですが、もともとは上流階級の奥向き、つまり女主人が取り仕切る家政機関みたいな感じで、表の、つまり男たちの社会と対になるような形。プライベートな方向から当主一家をサポートという感じ。京文化の教養を積んだものをトレードしているっていうのも、江戸初期で上級階級ってゆーたら、公家社会ですものな。
また武装した男たち(武士に関わらず帯刀している)から女を守る為のアジールの役割も果たしており、大奥の閉鎖性は女性を閉じ込めておく、というよりも、男が侵入してこないようにするが主眼だったようです。だって戦国期までの武士って、人殺し専科のやべー奴らで、舐められたら殺すという精神構造で、そういう連中が武装して闊歩している世の中だもの。刀狩を経たとは言え武装している連中がごろごろしている世の中。比較的非力な女性が男とトラブル起こしたとき、命の危険にさらされる例も少なくないですもんね。
んでこれは女性目線の話で、男性目線からすると、プライベートな立場から将軍に意見する事ができる訳ですよ。日常生活で秘書とか身の回りの世話をしている人たちですから。んで将軍家と親族付き合いしている大名家とかからすれば、自分たちの要望を直接将軍に伝えてもらえる有力なコネとなる訳ですが、それで表の秩序、組織を無視されるとトラブルのもとになる。これは自分の想像ですけれども、表の組織が崩れてしまい、自分の母方親族や愛妾などを側近にして政務を行った室町十三代将軍足利義輝は、三好義継や松永久通らに攻め殺されてしまったのですけれども、奥向きの都合で将軍の命令が出されていたから不公平感から不満を抱いて御所巻き、殺害になってしまったのかなぁ、と。
これを防ぐ為もあり、また四代将軍から八代将軍まで、養子相続とか、夭折とか、順調な父子相続ができなかった。つまり将軍姻族が権力形成ができなかった為に、大奥の統率は表の老中が行う事になったようです。一応これでプライベートな奥向きと、公式の表向きの住みわけができた、という感じ。
主に語られているのが江戸前期までなので八代将軍以降の話は、この後継続するのかな、と思ったら著者の専門は戦国後期なので、江戸中期以降は守備範囲外という事で(そもそも幕府大奥の事もそんなに長く研究されていた訳ではなく、どちらかというと豊臣政権期が専門)、ここで一旦お開き、という事だそうです。
オスマンのハレムもそうですが、江戸大奥も将軍の寵愛を得て男子を出産すれば、庶民でも上流階級に至れるシンデレラストーリーがあり、そうならずともキャリアアップで上層の階級に至れる数少ない経路がある組織です。表の男の世界は家柄、血筋、能力の順の評価なので、大奥ほど実力主義でもないので。
もちろん誰でも大奥女中になれる訳ではないし、下働きはツライ労働ばかりでしょうけれども、一つの夢があった事は間違いない組織でしたね。