pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

いい加減書きます

 『エリジウム』のこと。まぁ今回見て思った事ですが。

 

 人口爆発と地球環境汚染が進行し、超富裕層は衛星軌道都市で万全な医療体制・・・なんせ顔が吹っ飛んで心肺停止していても医療カプセルに収納されれば再生できる、みたいな描写があったぐらいのヤバいものですが、それで健康的で快適な生活をしているけれど、それ以外の人々、特に貧困層は広大なスラム街のような場所で危険な仕事に安給料で働かなければならないというディストピア

 オチは主人公が命がけで、誰もが魔法のような医療体制を受けられるようにした、というものですが、最近ちょろりと耳にしたけれど、医療環境が改善し乳幼児の死亡率が下がると、人口が増大する傾向に歯止めがかかるとか。確かに生まれた子供が死ぬかも知れないという恐怖が、次の子を産むという動機になっているなら、子供が死なないと保証されれば、実際に死ななければ生む必然性も減る訳だし、それに良質な医療、教育を受けさせるためにはコストがかかり、そのコストを支払う人数は少ない方が良いとなれば、更に多くの子を産む必然性が減る訳で、たぶん『エリジウム』の世界も人口爆発は軽減されるんだろうなぁ、とか思ったりしたり。

 人口が減少傾向になり、人が貴重なリソースと認識されれば、人権を大切にする傾向になるよな、とか、しかしそうなると『ハーモニー』みたいな違う意味のディストピアが現れるのかしらん、とか思ったりしたり。

 想像力には際限がないなぁ。

 んで読んだもの。

 

 ディストピアは何処にでもあるよね、みたいな話かも。独立戦争の最中、旧宗主国にも独立国家側にも属さず自治都市として存立しようとする勢力は、利害が一致していても究極的には味方とはならない為、両陣営から敵対やら冷ややかな中立やら、という立場に。十数人の自警団だけが戦力で、その中でも紛争で家族と片目を失った女性狙撃兵が最大戦力。一般市民だった彼女の心は過酷な戦場で半壊状態。こちらも負傷して人を殺す行為を克服できなかった観測手だけが心の支えみたいな。

 そんな二人+教え子少年兵が、同じように精神やられた凄腕の狙撃手が籠る、旧宗主国から支援を受けたゲリラ側拠点の攻略を命じられるという。正規軍が大規模攻撃して失敗、正規軍狙撃部隊が攻略しようとして全滅。そんなとこに、ほぼほぼ互いの狙撃チームだけでやりあう心理戦。実際の戦闘もこういうディストピアみたいな過酷なものになるんだろうなぁ、と。

 主義主張が薄っぺらく感じられる過酷な世界で、仲間と生き延びる事だけが唯一の救いという物語だから読み続けているのだと思うのですよ。作者の生活環境とか仕事環境もなかなか大変なようなので、続きを頑張って描き続けて欲しいです。