pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

TVドラマ『三体』を見終えて

 全三十話見たけど、これ、小説の第一部だよね、たぶん。地球サイドの『三体人』と繋がっているらしい組織をほぼ壊滅させて、でも科学者たちは三体人と地球人類の科学レベルの差に絶望していて、それを捜査担当者が発破かけているラストシーンだったのですが、その話がね、蝗と人間の関係に例えているのが中国らしいなぁ、と思いました。確かに人間の有史以来、大陸では蝗の群れとの死闘は続いているし、今現在も抜本的な解決はなされていない。島国の日本では蝗の被害は限定的だけど、大陸では広範な飢饉をもたらす原因になっている。人間は様々な方法で蝗の被害を抑えようとしているけれども、完全に抑え込む事はできていない。地球人類と三体人の関係もこんな感じならば、勝てないまでも負けない戦いができる、みたいな。半分寝ていて良く覚えていないけど(おい

 それ言っている人、陽気な悪魔みたいな人なんだよなぁ。そのキャラクター性が好きで見ていたけど、被爆しちゃっているからなぁ。ドラマが第二部をやるとしたらどーなるんだろ。

 そんな中国物つながりで、名前は知っていたけど読んでいなかった作品に手を出しました。

 

 漫画化されて作品を知ったけれども、原作小説がコンパクトなのに漫画がやたら長編化しているのを見て読むのをやめた覚えがある。たぶん小説と漫画は別物になっているだろうと思いまして。

 酒見賢一さん追悼ぢゃないのですが、改めて図書館で借りて読みました。『後宮小説』以来ですが、ああ、こういう文章だったなぁ、と。平易で解りやすくて、それなのに様々な情報が込められていて深いんだよなぁ。

 中国の戦国時代は内政、国際政治とか軍事とかの分野で様々な学派が現れ、自分たちの考えを実践する諸子百家の時代で、おそらく中国史上もっとも言論が盛んな時代の一つですが、その中でも異色なのが墨子教団。兼愛、専守防衛をかかげ、侵略される側を無償で助けるという技能集団。概念としては知っていましたが、物語であっても実際の運営、方法を知ると、それがいかに『非人間的』なのかという事が解ります。それは専守防衛も戦争であり、戦争に勝つ、負けない為には非人間的な行為に徹しなければならない事なんですけれど。つまり戦争という営みが非人間的。

 この墨子教団、弾圧された事はない筈なのに、中国が統一されると忽然と姿を消します。戦争がなくなったから?という訳ではなく著者は中国統一を果たした秦の軍制の苛烈さに墨子教団を影を見ます。つまり墨子教団は秦の体制に包摂されたのではないか?という説を掲げます。攻守は違えど過酷なその軍制は同じ匂いを感じますし、つまり墨子の教えは国家の軍隊に継承されたから教団としては消滅したと。しかし弱きを助ける『任』の精神は国家には継承されず、五斗米道太平道のような宗教結社に流れていったのではないかと。

 その可能性はあるよね~。と読みながら思いました。遅ればせながら酒見さんの作品、他も読んでみたいな。