pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

渦中の周辺

 図書館の書棚眺めていて、そういえばこの国の事って関連記事でしか読んだ事ないな、と思ったので借りて見ました。

 

 発刊が2005年、つまり二十年前なので古いと言えば古いのですが、二十世紀までの流れはつかめるかな、と。

 面積で言えば小国なのですが、中東にあるだけあって歴史は古く、フェニキア人の発祥地で今でもレバノン人は自分たちの事をフェニキア人の末裔と認識しています(二十年前だた)。現在の原型ができたのはオスマン時代。そしてフランスによる植民地支配でキリスト教系のマロン教徒を優遇する体制ができあがり、1970年代の内戦までは中東における金融センターの役割を果たす繁栄を享受します。

 しかし人口比率で多数派であるイスラム系住人の不満が、イスラエルに住居を追い出されたパレスチナ人の活動と結びついて内戦が始まると、経済活動は安全が保証されないと低調になるもので、一気に経済的に下落します。この内戦が複雑で、二十世紀末までだいたい、既得権を握る『レバノン国家』、それに対立するイスラム教徒もシリアを後ろ盾とする勢力と、シーア派でイランから支援を受けるヒズボラ、ヨルダンから排斥され当時レバノンに拠点を移したパレスチナ勢力、それを攻撃する為に侵攻してきたイスラエル軍と彼らが支援する南レバノンキリスト教民兵

 他にも先日出頭して亡くなった元日本赤軍の人もレバノンを根拠地にしていなかったかな。まぁ混乱の坩堝というのが相応しい。混乱の原因は、やっぱり既得権益を握っているマロン教徒やらイスラムでもスンニ派とかドルーズ派とかが、シーア派などの勢力を同等に扱わないっていうのが大きいのかなぁ、と。不平等な立場の人々が外国勢力と結んでテロを起こす。その連鎖の末の内戦って感じです。

 二十世紀末から二十一世紀初頭では、シリアの影響力が強くなったレバノン政府と、地域住民の福祉も担うヒズボラが国内を二分している感じでしたが、周知のようにシリアは現在終わりの見えない内戦を続けているので、今のレバノン政府の立場はどうなんでしょうね。イランの支援を受けたヒズボラの立場は強いようで、現在進行中のイスラエル軍によるハマス攻撃、それに伴うパレスチナ市民への無差別に思える攻撃も、飛び火しそうです。いや、もうしているのか?現在ハマスの最大支援者はイランで、そのイランが支援するヒズボラも同じ穴の狢とイスラエルは見ているのでしょうか?ハマスが逃げ込んでいると判断しているのかな。

 外から見ているとディストピアチックにも見えるのですが(外国の攻撃、贈収賄にまみれた政府機関、低調な経済、二、三年前には管理不十分なアンモニア系肥料が大爆発を起こして多大な被害を及ぼしていたし)、それでも人々の日常はあるしカルロス・ゴーン氏が逃げ込み余生を送る余裕はある訳で(今もいるのかどうか確認していないけど)、人間、生きようとするなら何とかなるものかなぁ、とか。

 現状はどうなっているのかな。色々調べたい気もする・・・