pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

妄想が楽しい

 ガンダムっていうコンテンツがこういう発展をするなんて、二十代の頃は想像できなかったです。

 

 自分は小学校一年?二年ぐらいの時にリアルでTV放送を見ていて口でして、中学時代にZとZZがあって、ZZから、まぁガンダムはいいかな、と思い始めた頃です。そこからOVAで『ポケットの中の戦争』が高校ぐらいで出て、そのあたりから御大やスポロボ系の作品と、『戦争もの』としてのガンダムを描く系統に分かれていくような気がします。自分は『戦争もの』としてファーストガンダムを見ていたと、自覚始めたのが二十代ぐらいですかね?08小隊なんか、ガンダムが消耗品扱いで、それを知った自分が凄く興奮していたと思います。たぶん(二十数年前のことだからね、覚えていないけど、そうなんぢゃないかなぁと)

 なのでその後のアニメ展開は自分好みではなかったから、あんまり真剣に見ておらず、逆に『宇宙世紀』のガンダム世界を現実の学術的視点で妄想してる作品とかを読んだりしています。この著者の方の作品は三冊目ですね。

 色々な視点で見ると、たとえば二十年ぐらい前は『ジャブローのもぐら』で無能の代名詞みたいに見られていたゴップ提督が、実は軍政家としては辣腕であり、戦後に政治家に転身して連邦議会議長になっているという作品も出てきます。

 この本ではガルマの・・・おっと、入荷をさばいて一時間ほど経過してしまった・・・政略的戦略的能力を高く評価しています。ザビ家兄妹たちがそれぞれが私兵を組織している軍閥の集合体のようなジオン軍において、ガルマは調整型の政治能力を発揮して、地球方面軍を取りまとめており、彼が現地有力者の娘と恋愛関係になり彼女との結婚を認めさせる為に、比類なき武勲を求めて出なくてもいい前線にたち、『異常な』ホワイトベース隊によって戦死した事によってジオン軍は組織的瓦解を開始した・・・みたいな感じで論じられているのが面白いですね。

 ドズルは政治家センスがナツシングで、ソロモン戦で連邦軍にできる限りを打撃を与えて撤退するよう示唆されたのに読み取れず(援軍が一個師団ではなく、一個師団相当のビグ・ザム一機であるところで、ギレンがそれを示唆した、という説・・・難しいな)、ソロモンで最後まで抵抗してしまったというのも新鮮。ただし戦術的にはキレキレで、連邦軍の最初の攻撃が陽動であると読み、主力の戦艦隊を温存して決戦に備えていたけど、ガンダムの『異常な』戦果(ヒーローものだとなんてことはないけど、戦争ものとして見ると、瞬く間にムサイ級巡洋艦三隻撃沈っておかしい)で、正面戦力が読みと異なり強力な戦力と見てしまい、穴の開いた戦線を手当てする為に戦艦隊を出撃させたところで敗北を悟ったと見ています。この時点で家族を脱出させているので。

 あと宇宙対地球という対立構造がガンダム世界の基本構造なんですけれども、そのグランドデザインを描いたのはデギン公であり、彼がジオンが勝ちすぎて地球侵攻などというリスクばかりが大きい戦略を取らないようにしようとしていたってのも面白いですね。その為にあえてジオン軍軍閥構造にして非効率化してしまったとか。誤算はレビルが脱走して彼の演説で心が折れかかった地球連邦市民に火がついてしまい、それに乗ってキシリアやギレンが地球侵攻に舵を切ってしまった事が消耗の膠着状態・・・馴れ合いの発生になったと。

 そしてアムロガンダムを始めとするホワイトベース隊の戦果が戦局を揺り動かし、戦争の流れを一気に連邦側に変えてしまったと。

 知識ある人の『妄想』って面白いよなぁ、と感じながら読みました。ゴップの次はガルマやデギン公の再評価、始まらないかなぁ。ワクワク。