pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

何作目の『ファーストコンタクト』ものなのかしらん

 ここ数年、ずっと追っかけているので、今回もまた購入しました。

 

 著者の方はこれまで何作もファーストコンタクトものを発表されてきたのですが、人類が宇宙に進出した時代のものが三作、第二次大戦開戦以前から始まるものが一作と、あんまり現代とは関係ない(関係なくはないけど、違う時代)で作品が描かれていたのですよね。

 ところが今作は現代より十年ぐらい先の近未来物で、ロシアのウクライナ侵攻やら少子高齢化やら、就職氷河期世代が欠落しているので指導者層の人材が絶対的に不足しているとか、そういう身につまされる社会なんですね。そんな人手不足の中で、異星知生体との接触でモロモロ人が殺されて、それに対処すべき公的機関は硬直した組織意識で有機的に動いているのかどうか・・・んで本来は知識人同士の国境を越えた交流を情報、外交チャンネルにする目的で立ち上がった学術組織が、暫定的に対処する国際機関に参加し問題に対処していくって話の流れですかね。

 著者の現状認識が反映されていて(自分もそれに影響されていると自覚はしていますが)かなり危機的です。世の中の指導層で、本来それを担うはずの年齢層が欠落しているのですよね。幹部として経験、キャリアを積んだ五十代、六十代が不足する時代。

 これ、自分の業界のメーカーで実際に起こっている事で、こちらは採用しなかった、というよりも、経営者に意見を言える意志、経営に資する能力を持った人材が経営サイスドと対立してどんどん辞めているが為に、気が付いたら経営に関する全ての事柄を創業一族を始めとする数名の経営者でやらねばならなくなったという。残ったのは経営に参画する気のない労働力ばかりなので、それも悪いうわさが立って(まぁ地方企業なので噂が広まるなんて、あっという間なんですが)、その現場のパートさんも集まらない状況が一年以上続いていると。人海戦術でまかなっていた出荷業務に直撃し、繁忙期の物流の遅れは、酷い時には一週間近い時もありましたね。

 そうか、こういう社会が十年後にくるかも知れないのかー。それって総ブラック化という事なんですかね。そこまで酷くはないでしょうけど(世代的な欠落はあるでしょうが、それより若い年代が指導的立場に立たざる得ないだろうし、労働力も人的不足を機械化で補う方法が考案されるでしょうけれども)、でもまぁ、物凄く描かれる危機的状況が想像しやすくて戦慄を覚える作品ですね。

 ちなみにそこのメーカー、身売りを検討しているって噂が広がっていますが、同業他社にそんな体力のある会社はないだろうし、売り上げに比較して在庫が多いという業界特有の体質を(制服なので顧客が求めるタイミングで在庫を持たねばならず、それはオールシーズンにならざるをえない)、ファンドとかが飲み込めるのかどうか知らないし、そもそも手に入れた後、会社を回せる人材を何処からか調達しなければならず、そんなノウハウを構築する労苦を考えると・・・うーむ、売れるのかね?(あ