pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

プロイセンがお好き

 オークがエルフの国を蹂躙する話、というのと、銃と魔法の戦記もの、というので興味を覚えて買いました。

 

 冒頭の地図を見て「あ、これ、プロイセンぢゃん。んで、これがデンマーク・・・おそロシア、これがオーストリアなら、これはバイエルン?んでネーデルラント三国は一つにまとめてる感じで、これがフランスかな」って感じで十九世紀後半のプロイセンがドイツを統一する一連の戦争期をモデルにしているんだなぁ、と。

 んでデンマークに相当する国がエルフが住んでいる国らしく、そこでダークエルフに対して民族浄化が行われた事が物語の発端なのですが、難民となったダークエルフを迎え入れるプロイセン・・・ぢゃなかったオルクセンは多種族国家で主要構成種族はオーク・・・風体はオークだけど、こんなに近代的なオークって・・・え?それも他者を収奪とか、略奪とか、暴力に任せてとか、そんな事をしない極めて『善良な』振る舞いをするオーク・・・あらあら?

 ここでちょいと予想が外れました。『邪悪な』種族が他国を蹂躙するけれど、主人公がそれを改善しようとするのかなぁ、とか思っていたですよ。もう改善されてました。あらあら。近代的に合理主義で『理想的な軍事国家』が完成されているのですよね。

 きっかけとなったのがオークと大食をどのように賄うか。他者から略奪をする行為を繰り返していては、ジリ貧。他種族との抗争で敗北したら殲滅されて、それこそ民族浄化されてしまう。120年前にエルフの国に攻め込んで大敗北を喫した時に、どうもそういうコンセンサスを受け入れる状況になったらしく、農民化し産業を興し自給自足化を進めて・・・百年かかって略奪、他種族捕食の習慣を捨てたそうな・・・

 自分としては、その変革の軋轢とかを期待していたけれど、どうもこの作品はシュレーシュヴィヒ=ホルシュタイン戦争をモデルに展開するような気がするです。デンマークとの戦争ですね。んで受けたら普墺戦争普仏戦争までエピソードを伸ばすのかなぁ。

 あとは転生ものぢゃないよね?と思っていたけど・・・あ、やっぱりそうなのね。前世の事はあんま覚えていないけど、120年前の大敗北をきっかけにして目覚めちゃった変革者が国王になり、性欲や睡眠欲が他のオークよりも乏しいけど、ダークエルフの、つまり人間の美的感覚だと美人に見える女性は意識しちゃうって、まぁそうなんだろうね。

 百年で食が保証されて『いいオーク』が多数派になってしまう世界だから、基本的に味方登場種族はいい人・・・いいクリーチャーばかりです。その点はライトですかね。

 次巻の展開が楽しみです。