pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

怒涛の読了

 まぁ気が付いたら返却が来週水曜日だったので、そしてその日が休日だから火曜日に返却しないと(図書館へ返却の為だけに外出したくないござる病)に罹ったので、読書スピードをあげました。おかげさまで今回借りた本は後二冊で読み終えます。なので感想を書き書き。

 

 治承・寿永の乱から戦国大名武田氏の滅亡までで、彼ら一族のアイデンティティを追ったものです。平安末期から戦国時代にかけての、主に甲斐国を中心に活動した一族を扱っているので、安芸、若狭の同族については触り程度。

 治承・寿永期では頼朝に主導権を奪われるまで、平家滅亡ぐらいまでは甲斐、信濃遠江駿河あたりは彼らの縄張りでした。しかしその独立性、頼朝に対抗しうる貴種性故に粛清、勢力削減対象に。

 北条得宗家の被官になったりして政争に巻き込まれながらも鎌倉時代を生き延び、南北朝の内乱では足利将軍家に従って、甲斐だけでなく安芸でも勢力拡大。この頃は安芸が本家、甲斐が分家みたいな印象がありますが、上杉禅秀の乱で甲斐守護家が弱体化してしまい、その再建は鎌倉公方足利持氏の滅亡まで停滞しますが、その後は京都の幕府の後ろ盾を得て、ゆっくりと甲斐を自らの権威に従わせていきます。三世代ぐらいかかってるけど。その頃、安芸の武田一族も将軍義教近習から若狭守護になった者が出て、そちらが本家みたいな感じになり、甲斐守護家はそちらとは別に『惣領家』として御旗楯無鎧を相伝の『神器』みたいに伝える事を正統性を用意しています。どうも分家というよりも別の家になっている感じ。

 この御旗楯無は、御旗は源義家が賜った旗で、楯無鎧は義家弟である先祖源義光から伝わった鎧とされており、武田一族はそれを携えて源氏将軍、足利将軍に近侍し、戦ったという伝承を持つようになります。これが武田氏のアイデンティティ清和源氏の名門で将軍の一の家来、みたいな自意識ですかね。室町期は足利一門とそれ以外では、礼式の上で差別化か図られているので、幕府内の序列では低くないけど、そこまで高い訳でもない、みたいですけど。

 これが変わるのが武田信虎の時代で、甲斐を統一し、幕府に働きかけ、その家格上昇を図ります。将軍義輝の時期だった事も大きいかも。従来の秩序では畿内の平穏を守るどころか混乱増すばかりであり、従来の家格秩序を破り、自らの立場を掘り崩す事になろうとも実力者を優遇する政策に転換しているので。

 しかし実力者による争いが激化すると甲斐国という立地が影響しますね。室町期がそうであったように畿内勢力と関東勢力の境目にあり、自立していようとすると東西からの圧力に潰されていく、みたいな。室町期は幕府と鎌倉府との争いで潰されていましたが、戦国期は自立性を保とうとしてほぼ全周囲敵にしてしまい滅ぼされたみたいな。

 自分としてはそういう印象でしたね。

 あ、そういえば2026年大河ドラマが『豊臣兄弟!』となり主人公は豊臣秀長になるそうですね・・・え?秀長好きだけど、まさか主人公になるとは思わなかった。次に大河に登場するとしたら藤堂高虎主人公で尊敬する亡き主君みたいな感じかな、と。脚本の方が「兄秀吉に振り回されるさまを描きたい」とかおっしゃっていたから、周辺大名はおろか家臣にまで振り回されていた『どうする家康』路線なのかね。二匹目の泥鰌ですかね?とか思ってしまいました。人が悪いよな、自分。