pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

できれば今日、返却したい

 なので読み終えた本の感想をかきくけこ。

 

 アメリカ人、あるいは1960年代に物心ついていた人たちにとってJFKという略語は様々な意味を持っているようで、それをまざまざと感じさせられました。自分にとっては数ある歴史上の人物なのですけれど(あ

 しかし若くて健康なイメージのケネディが、実は病弱で、政略結婚から生まれたから母親からハグされた覚えもなく、厳格な家父長で絶対権力者の父親にも逆らえず、その反動からか病的な漁色家になっちゃったとか(病弱なのに)、ギャングやマフィアともつながり金は力なりと理解している父親のいうがまま、兄のスペアとして生きてきましたが、運命の悪戯か、兄よりも『英雄』化戦略が成功してしまい(日本軍の駆逐艦天霧と夜間衝突して、指揮していた艇を沈めてしまったことも、本来罰せられるところが、遭難した部下たちと生死をともにし帰還した事が武勇伝とされて、いや父親の金とマスコミの報道力でそうなってしまい、軍も叙勲せざる得なかったとか)、それに焦った兄が無茶な出撃をして戦死してしまったこともあって、彼がケネディ家の旗頭に。

 一族上げての選挙戦、下院、上院と駆け抜けて大統領選に当選。若いという事は未熟の裏返しであり、政府スタッフも頭でっかちな人々が多かったとか、人脈の形成が不十分とか、まぁ色々あるのですが政治危機で鍛えられて、ネゴシェイターとしては有能になっていきます。キューバ危機なんか、強硬派のいう事に流されていたら核戦争勃発の瀬戸際だったようです。

 あたかも日本における『本能寺の変』のように議論百出のダラスでの暗殺事件も、様々な陰謀論が出ていますが、やはり単独犯説が一番収まりがいいようです。政治的に彼を抹殺するには、女性関係やら夫婦不仲やらを暴露するだけで可能なようですし、『健康』で売っているから、余命が十年みたいな事実さえスキャンダルになりそうだし、個人ぐらいぢゃないですかね、邪魔だから命を奪うって発想になるのは。そんな感想を抱きました。

 ケネディの時代はアメリカが一番輝いていた最後の時期で、その『伝説』とともに人々のノスタルジーを掻き立てるのでしょうかね?

 

 一言で言うと「ドイツを西欧でひとくくりにすんな」って本ですね。英仏とは違うんだぜ。という。第二次大戦後の話題が哲学めいてきて、ドイツの自分探しの歴史みたいになってしまってアレだったのですが、戦後世界がいかに『ナチス・ドイツ』を悪役にして成り立ってきたのか、というのも良く解る本でした。未だにロシアはそれを口実にして侵略してるんだもんな。

 

 

 駆け足になっちゃいますけど最後はコレ。本格的に律令国家を準備し、強要した人って評価ですね。それまでも、著者の見方では推古天皇時代から律令制への準備は始まったけれども、豪族連合である日本で中央集権の軍事国家を建設するなんて、やすやすとはできません。白村江の戦いで大敗してしまった天智天皇ではムリだったと。だから、この本にはそうとは書いていませんが、天智天皇と『共同統治』していた大海人皇子が、天智天皇に後継政権をどうするか問われたところ、天智の皇后を即位させ、天智の庶長子である大友皇子を執政に立てればいいと答えて、出家して吉野に下って行ったのは、兄天智とともにつくりあげた律令制が脆弱であり、自らそれを武力で打破する事で、いざとなったら強権を発動する天皇として豪族たちを威圧し、それを持って律令制を豪族たちに強要したのではないか、と、そうとは書いていらっしゃらないけど、そんな風に読めたりします。

 中央だけでなく地方においても国造と呼ばれる豪族たちの支配領域を解体するような事ができたのも、軍事力で政権を奪取したという武勲あればこそ。もっとも自らが兄とともにつくりあげ、打倒した近江朝廷を攻撃した軍事力は、彼の個人的な人脈を駆使して集めたようなので、何というか、それなら軍功をあげた人々が彼の政府中枢にいない事も説明つくのかな。

 あとは継体天皇以降、縁遠くなっても臣籍になっていないので無造作に広がってしまった皇族を整理し、遠い縁戚は臣籍にして天皇の二世代、あるいは三世代子孫までを皇族として規定しようとしたというのも業績ですかね。系譜が不明な王族がこの時代から官僚になっていくので。

 そんな感じで駆け足で感想書きました。ふう。