pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

皆、睡魔が悪いんや

 そうやって睡魔のせいにしております。今年は特に気温差がジェットコースター状態なので、体力の消耗もあるかも知れません。食後の睡魔がヒドイヒドイ・・・早く気候が安定してくれないかなぁ・・・その前に冷房が動くかどうか確認しないといけないけど。

 つまり、何も読み終えていません。はい。あと一章で終わるから、これを読了と言ってもいいかもですがね。いいか。書いちゃうか。

 

 著者の方、自分が目にしたのが十年ぐらい前で、一般書で見たのがそれぐらいだったから勝手に同年代の研究者なんだろうなぁ、と思っていたら三年前に亡くなったと知ってびっくり。よくよく見たら在野の研究者の方で二十歳ぐらい上の年代の方でした。おやまぁ。

 自分が最初のこの方の著作を読んだのは、尾張時代の信長についての話だったかなぁ。それ以来、だいたい尾張、美濃の中世を中心に著作を発表されていて、尾張時代の信長についての本もそうだけど、一番目から鱗だったのは『斎藤妙椿・妙純』養父子を中心に語られた前期斎藤氏の事かなぁ。斎藤氏は妙椿の兄もやり手でしたが、その兄が急死し甥が若かった為、出家していたのに急遽当主となった妙椿がこれまたやり手で、どれぐらいやり手かというと応仁の乱後半の西軍補給路を一手に支え、京の公家から「こいつがおるから乱が終わらん」と日記に書かれるほど。その斎藤氏にも支えられた美濃土岐氏が主題です。

 血統的には源義家の父祖、頼信の兄貴、つまり摂津源氏の惣領にあたる頼光が先祖。南北朝の騒乱で一貫して足利尊氏を支持、「足利一門の次にエライのはうちの家系」という気位が高い一族ですが、バサラ大名の代表みたく、酔った勢いで光厳上皇に矢を処刑された土岐頼遠とか、戦功で美濃、尾張、伊勢という現在の東海三県全ての守護を独占して、反対派が実権を握ったからって幕府に参加しなくなって、代替わりのタイミングで一族内の内紛を利用されて討たれるとか、まぁイケイケだったけど政争に敗れたみたいな人々ですね。

 ただ実権が守護代に徐々に奪われていくのは、その後、応仁の乱直前で一色家から後継者を迎えたあたりですかね。このあたりから従来の守護代富島氏勢力と新興の前期斎藤氏が争い、漸進的に斎藤氏が勝利を収めてから斎藤妙椿みたいな『立役者』も現れて土岐氏の権力は後退気味。その上、兄弟間での内乱が戦国期に起こり、その争乱を収拾する形で斎藤道三に主導権を奪われる・・・つまり「やられ役」の歴史になります。

 この方の手法は地域の寺院に残されている古文書を精査し、その中から合理的に説明できる部分を洗い出して論を組み立てられるって事で、土岐氏って旗本として江戸時代存続しているけれども一旦滅びたようなものなので記録がまとまって残っていないようです。それを埋めるのは菩提寺とかそういうところに残っている古文書が宝の山になる訳で。この本も整理された形で原稿がなく、絶筆になってしまったものを編集者が未掲載の土岐氏論文を載せる形で一冊にまとめたものになります。

 こういう感じで地道な研究をされる方がいるから、少しづつ少しづつ当時の様相が明らかになっていくのが歴史とかの醍醐味で、ありがたい事でした。大変遅れましたが、ご冥福をお祈りします。