はよ梅雨にならんかと心待ちの日々。桜の季節?花見宴会が自粛なんだから、どーでもええのんぢゃー!!(暴言
んで読み終わったもの。
『応仁の乱』もなかなか難解な歴史事件なんですが、それに先行する形で関東で起こった『享徳の乱』もなかなか理解しがたく、一般向けの本も出ていますが、やっぱり良く解らないので時系列順に出来事をつづったこちらの本に期待しました。理解しがたい原因が解ったって感じです。戦乱の発端と、二十九年後の結末では問題が変化していて戦乱の終結は、それこそ開戦の為の準備みたくなってしまっている。何の問題解決にもならず、次の戦乱に繋がってしまっている、という感じです。
事の初めは、まぁ当事者である足利成氏と上杉憲忠の父親の代、足利持氏と上杉憲実の争いの残り火というかなんというか。室町殿足利義持が後継者を決めずに没した事により、将軍後継に欲目を出した鎌倉公方足利持氏が将軍足利義教に反抗的になり、それを諫める関東管領上杉憲実と対立。結局足利持氏は滅ぼされますが、関東の秩序は鎌倉公方の復活を望み、何の改革もなされないままに持氏遺児、成氏が鎌倉公方となり、関東管領には上杉憲実息子憲忠が就任。どう考えても問題が起こらない筈がなく、小競り合いの末、上杉憲忠は足利成氏方に暗殺されます。当然上杉方は蜂起し、最初は公方勢力に対して劣勢になりますが、幕府の支持を取り付けると勢力を挽回します。
足利成氏からすると幕府と対立して滅亡した父の轍は踏みたくない為、あくまでも上杉との私戦を主張しますが、関東管領は幕府の任命によるものであり、それを殺すという事は幕府への反抗と判断されても仕方がない。この形勢から足利成氏から離反する勢力も現れるのですが、ここで本家筋に逆らう分家筋が本家の方針に反対し、これを没落させるような事態も起こります(下総千葉氏など)。
更に上杉方の事実上の総帥であった関東管領山内上杉家の家宰、長尾景信が死去すると、その後継を巡り景信弟忠景を任じた当主上杉顕氏と景信嫡男景春が対立。景春の蜂起により上杉方の体制が一旦崩壊。これも扇谷上杉家の家宰太田道灌が主導権を握って鎮圧するまで続きます、が、太田道灌も山内上杉家の為、というよりも扇谷上杉家、ひいては自家の勢力拡張に戦争を遂行した為、山内上杉家と対立するようになります。
これは太田道灌が主人扇谷上杉定正によって暗殺されるまで続きますが、この間にあらゆるつてを行使し、何度すかんくらっても幕府との和睦を望んだ足利成氏の努力が実って現状維持という形で停戦が実現しますが、ね、何も問題は解決されていません。
二十九年間決定打を討てなかった足利成氏、山内上杉家の権威は傷つき、利権争いを続ける諸家を統制する事ができなくなり、それどころか自家内の対立さえ鎮められなくなります。上記のように山内、扇谷両上杉家は東関東の覇権を巡って対立。足利成氏は息子政氏と対立し、それぞれを支持し自らの利権拡張を望む諸家を利用し、利用され、しまりのない戦乱が続く事になります。
ここまでの流れで事態を収束させる力がありそうだったのは太田道灌ぐらいなのですが(解り易い軍事的才幹によって)、彼がその利益の代弁をしていた上杉定正によって殺された理由は、本書では語られませんでした。いつか、この後の両上杉家の争いである長享の乱も図説化していただけませんかね。人気武将の伊勢宗瑞も登場しますからね。