pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

口内炎が痛いでござる

 昨夜の夕飯時は何ともなかったけど、就寝前は喋りにくかったです。あ、喋るというよりかは音読です。『三好一族』を就寝前に最低一節は音読してから寝るようにしているので。お陰で分量はそんなに多くない本なのに、読了がかかる、かかる・・・

 それとは別に読了した本があるので、そちらを。

 

 復刻されたものです。米澤穂信さんの帯で読みました。『怪作』と言われる意味は最初から感じていました。謎自体は込み入ったものではないです。どちらかというと、ちっとも理性的でない、どちらかというと感性の好き嫌いで物事が進んでいるフランスの地方の街(日本的な感覚だと都道府県内で四番目か五番目くらいの規模で、近隣の都市とは結構距離がある、というイメージ)で毎週木曜日に若い女性が絞殺されるという、ある意味凄惨な連続殺人なのですが、何というか、皆、切迫感も危機感もない。言ってしまえば他人事。自分の身近な日常を繰り返す事の方が重要であり、それによってその地方都市は存在感、経済的を得ているという感じ。

 そのトリガーが街で一番美味しいレストランで毎週木曜日のディナーに出されるウサギ料理だから、それを出すのをやめろ、という差出人不明の手紙が届くという話。

 年代的にはだいたい1980年代ですかね。翻訳された方が去年七十歳で亡くなられていて、2009年に文庫化された時に三十五歳の時に翻訳した~、と書いていらしたようで、となると1980年代かな、と。だから全てアナログなんだなー。メールどころか携帯電話も出てこないもの。

 読了した時に感じたのが、今、ほぼ同時期に発表されたと思う『さよならジュピター』との登場人物の「性格」の違いかな。この小説の登場人物は、ほぼ全員利己的な人々で、自分の都合を優先させ、他人の頼み事は渋々行う、みたいなところが多々見受けられる。『さよならジュピター』は宇宙開発の話だからなのか、上意下達が貫徹しているイメージ。その自己中心的な行動が殺人事件の連鎖を起こし、その仕組みをストップさせると殺人事件は行いけれども、町の経済が衰退していくという・・・あ、地方都市衰退のプロセスみたいに語られているかな。

 謎解きを楽しむというよりも、そういう人々の動き、連関、崩壊の過程を見る事が、この作品の本質だとすれば、確かに「怪作」と言えるでしょうね。そこはかとなく恐怖さえ感じたりします。結末にいたる過程も、うはーん、って感じですしね。

 

 それに比べればこちらは戦争の話ですけれども解り易い分、可愛いかも、主人公の外面はようじよだし。でもそろそろ帝国軍は戦場で勝ち、戦争で敗北するという展開になってきました。知らないうちに世界の敵に仕立て上げられ、世界の物量を相手に戦う羽目になっている。共和国本土を制圧した時に和睦できなかったのが一番辛いと、後から思う感じです。

 そして、そろそろ地獄の東部戦線が始まるですよ・・・次巻も楽しみです。