pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

家族の話になっているかな

 たぶんこの第三部までが一括りという扱いなんですかね。

 

 幻視が見せる未来に捉われて、統一はしたけれど統治に行き詰まってしまったポール・アトレイデスがデューンの砂漠に消えてから十年余り。母親ジェシカも引退してしまい、帝国の統治はポールの双子の子供たちが成人するまで、妹アリアが摂政として担う体制に。

 他の物語だと、このアリアを脅かす存在が出てきて、つまり外敵の存在で帝国が危機に陥るって感じなんですが、この物語だとアトレイデスの血族・・・正確にはジェシカの子孫たちの中に、精神的なものに脅威が潜んでいて、アトレイデス家内の内輪もめという形で危機が現れます。ジェシカが属していた教団の血統実験の結果生まれた『救世主』は自らを起点に遡り、全ての先祖たちの記憶を引き継いでいるという存在。自我が弱ければ、その先祖たちに自我を奪われてしまうという。その先祖たちの記憶、妄執を退けて更なる段階へ統治を進める、というのが自分が感じた物語の主題ですかね。

 しかしその方法でポールの双子の一人は非人間的な存在になり、その統治のもと人類はかつてない平和・・・停滞の時代を迎えるだろうという、何ともかんとも。

 物語の方向性は『スターウォーズ』シリーズよりも自分はこちらの方が好きです。単純な勧善懲悪ではないし、平和の裏返しが退嬰的になっていくという、あちらが立たねば、こちらが立たぬ、というのも好きですし、家族が疑心暗鬼になっていくっていうのも統治家族の宿命って感じ。そしてかつての皇帝家の生き残りも完全に敵対する存在ではなく、理屈、利益が存在するならば妥協に転じ、協力していくという展開もいいです。『スターウォーズ』では敵ボスが妥協に応じるなんて事は欺瞞とか悪意が潜んでいる場合以外にないですかね。

 しかし映像化という面では難しいのでは?第三部は特に登場人物の内面の葛藤が主題になっているような気がするし、海外はともかく日本での反応はどうなんかなぁ、と。戦闘場面が描写される今上映中の『デューン』も興行成績的には期待するほどではないみたいだし、求めているものが異なるのかな。

 あ、自分は円盤派です(おーい

 小説第四部も新訳される予定があるのかなぁ。設定的にはハードSFになっていくんですよね?たぶん出たら買うと思うです。