pomtaの日記

だいたい読書感想か映画感想です。たぶん。

仕込み時期とは言えども

 なんか暇な一週間でしたね。暇だからこうやって日記も仕事場で書いちゃう訳ですが、日記に書く本を読み終えたから書くことになるのですが。

 

一揆の原理 日本中世の一揆から現代のSNSまで

一揆の原理 日本中世の一揆から現代のSNSまで

  • 作者:呉座 勇一
  • 発売日: 2012/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  これ、呉座さんの実質処女作なんですね。そっか八年前かー・・・『アラブの春』とかもそうなのね。

 『一揆』というものを『革命』とか『反権力』ではなく、春闘の折衝に近いという書き方が納得できましたね。あとね、日本の野党やデモなどを主催する団体は、政府を弾劾する事だけに安住してしまって、代替案を提示する事がない為に『万年野党』である事で足れり、となっているあたりも、そうかもねー、とか思ったりしたり。

 脱原発を主張する人たちも、反対の為の反対しかせず、現実的な問題解決を提示した事はなく、政府に丸投げの「甘え」思考なので、結局賛同を得なかったのかも(環境保護を訴えるスウェーデンの少女にしても、言葉と実際の彼女の生活との乖離がうさん臭さを感じさせて、それほど支持を広げているように思えない)

 確か『一揆』を『同盟』と同意義みたいに見る方って、神田千里さんあたりの著作から得たのかな?この本ではそれに加えて体制内団体交渉を行う手法と教えてもらいました。『百姓の持ちたる国』って言うても、実態は室町守護体制の枠組みの中での事であり、加賀国はそれまでの守護富樫氏に代わって本願寺がその役割を果たしていただけであり、特に他の国と異なった支配体制となったとは、今のところ自分は知らないです。

 一向一揆島原の乱などはどうなんだ?と言われると、一向一揆本願寺の武力であり、本願寺自体が室町体制を否定するつもりは毛頭なく、政治勢力としてその要求を貫徹させる為の、いわば武力を用いた交渉というべきで、島原の乱江戸幕府体制を否定する事は言っていません。

 そういう意味では日本国内の戦争というのは、『武力を伴う交渉』という側面を持ち続けたというべきかも知れません(戦争相手の一族殲滅というのは、結果もたらされるもので、最初から相手の殲滅を企図した政治勢力は寡聞にして知りません)

 ただ馴れ合いは問題の先送りでもありますが、相手に対して生きるか死ぬかの決定的対決を迫らない『優しさ』でもあるのかも知れません。それによって相手が嵩にかかる事があるので、ケースバイケースにしないとあかんのは、どんな事でもそうですけれども。

 自分が学生時代の頃からみると、論議が格段に深化しているよねー。